旧制浜田中から早稲田大に進んだ三浦氏は、茶の販売などを手がけた後、51年に同市で「ヨシタケコーヒー」を開店。65年に缶入りの「ミラ・コーヒー」を発売し、広く親しまれたが、資金難で68年に製造中止に追い込まれた。
有志らの間で、三浦氏の情熱や先駆者としての歩みをたどり、再評価しようとする機運が高まり、昨年11月には、コーヒー学の単位を取得できる金沢大と、全日本コーヒー協会主催の公開講座が市内で開かれた。発売50周年を機に今年9月、日本コーヒー文化学会(事務局・神戸市)と市民有志によるシンポジウムや、記念碑の建立も計画されている。
そうした動きを好機とみた市も、「缶コーヒー発祥の地」の発信、PRに向けた環境整備を計画。三浦氏が独自に編み出したネルドリップ式コーヒーの味を守り、提供しようとする市内の店に対し、研究家らの協力も得てお墨付きを与える「正規取扱認証制度」を創設する。三浦氏とヨシタケコーヒーの歩みなども語れる店が理想で、今年度中に認証を始めたい考えだ。
人員や資金面で、シンポジウムの開催も支援。市観光交流課は「発祥の地への関心を高め、訪れる人々に三浦氏の人となりや歴史も含めて味わってもらえれば」としている。